たびらい沖縄のエコツアー体験
たびらいの考えるエコツアー
たびらいアクティビティでは、以下の内容を「エコツアーを構成する重要な要素」と捉え、みなさんへ共有をしていきます。
たびらいアクティビティのおすすめするエコツアーを参考にしていただき、みなさんが共感できる素敵なツアーとの出会いを、楽しんでください。
①学びの提供(ガイドスキル・正しい知識)、地域の魅力発信
自然環境保全や地域の生活文化、歴史、魅力などに関する知識を有し、参加者へ正しく、楽しく伝えることができるツアー・ガイドであることを前提としています。それらを裏付ける条件として、ガイド歴やエコツアーに関わる各種資格、関連団体組織への所属の有無などを予め確認をし、ガイドがエコツアーを開催するにあたり十分な意欲とスキル、ホスピタリティを有しているかを審査しています。
②環境保全活動への意欲や取り組み
エコツアーを行うにあたり利用するフィールド(自然エリア)において、ごみ拾いや共有スペースの清掃活動、希少動物の保護活動などを意欲的に行い、日頃より環境保全へのアクションを取り続けるツアー・ガイドであることを前提とします。また、エコツアー参加者も同様に体験を通して環境保全に対する新たな気づき、発見を持ち帰ることができるよう工夫されたツアープログラムを提供しているかについても重視しています。
③地域振興、人材育成
自然環境と密接な関係を有する伝統的な生活文化、それらを育んできた歴史的背景なども広く自然観光資源ととらえ、積極的に活用し、地域振興に貢献することができるツアー・ガイドであることを前提としています。地域の魅力をツアープログラムに組み込むことにより、地域経済の発展にも寄与することができ、それが新たな現地エコツアーガイドの育成にもつながります。これら一連の流れを得て、初めて本来の意味での持続可能性を得られると考えています。
なぜエコツアーなのか?
美しい海や山々に囲まれ、一見すると昔から変わらずに豊かな自然が保たれている様に見える沖縄でも、世界が抱える環境問題と同様に様々な問題が起きています。一例として、大量の海洋ごみや赤土(あかつち)の流出が自然環境へ与える影響は、深刻な問題となっています。私たち「たびらい沖 縄アクティビティ」は、現地活動においてビーチに漂着する沢山のごみやサンゴの破壊の進行を見聞きする中で、人為的な要因で刻々と、しかし確実 に変わり続けていく沖縄の自然環境について身をもって体感し、危機感を募らせています。
そのため、現地にいる私たちが地域事業者と手を組み、エコツアーの必要性を発信していくべきだと考るに至りました。
始めはできることは少ないかもしれません。ですが、たびらいを通してツアーに参加された方が沖縄の環境問題について考える、また家に帰った時、 日常で環境に配慮した行動に変えてもらう、そんな小さいなきっかけづくりができればと考えています。
①サンゴに関する問題
その美しい景観から重要な観光資源として広く認知をされているサンゴ礁。実はその他にも様々な大切な役割を担ってくれていることを、ご存じでしょうか。
サンゴ礁の面積は、地球表面の0.1%ほどにしかすぎません。しかし、サンゴ礁には9万種もの生物が暮らしています。また、浅海域の生物の35% 以上もの種の生存を支えているとする報告もあり、サンゴ礁は単位面積あ たりの生物種の数が地球上で最も多い場所のひとつと言われています。
(環境省 2016,P3)
2004年のスマトラ島沖地震で起きた津波では、サンゴ礁の存在により津波が弱められたことが報告されています。サンゴ礁は防波堤としての役割を担っているのです。沖縄県におけるサンゴ礁の防波堤としての価値は年間559億円にも上るという試算もあります。(環境省 2016,P4)
引用文献
環境省「サンゴ礁生態系保全行動計画2016-2020 (2016年)」(2022年2月15日閲覧)
上記のように、観光資源のみならず海洋生物の生態系や私たちの暮らしを守る役割をも果たしてくれているサンゴ礁ですが、開発、土壌流出、海水温の上昇、食害など様々な問題による影響を受けています。
沖縄では、ダイビングショップオーナーが「20年前の海とは別物のように感じる事があるほど、サンゴが減り続けている実感がある。それに伴って魚 や貝も減っている。」と話すほど、その影響は顕著に現れているように感じます。
このような中、サンゴの食害生物であるオニヒトデの駆除やサンゴの養殖(植樹)などの保護活動が、沖縄各地の地元団体等によって継続的に行われています。2018年にサンゴの村宣言を出した恩納村では、環境にやさしいダイビングやシュノーケリングの国際的なガイドライン「Green Fins(グリー ンフィンズ)」の導入を進めることで、観光振興と自然環境の維持、保全を目指して活動を行っています。
②海洋ごみに関する問題
沖縄の海岸域にも大量の「漂着ごみ」が見られますが、実は打ち上げられている“ごみ”の他にも、海面や海中を漂う「漂流ごみ」や、海底に沈下して 堆積してしまった「海底ごみ」も多く、自然環境だけでなく多くの海洋生物にも影響を与えています。
令和元年度に全国10地点で行われた環境省による海洋ごみ調査報告では、
漂着ごみ(容積ベース)は10地点中7地点で自然物に比べ人工物が多く、人工物の割合は、プラスチック類の割合が高い地点が多い結果となった。プラスチック類の主なものは、漁網・ロープ、飲料用ボトル等であった。
(環境省 2019,P3)
引用文献
環境省「令和元年度海洋ごみ調査の結果について (2019年)」(2022年2月15日閲覧)
とあり、漂着ごみの多くは人工物であることがわかっています。
沖縄では実際、ホテルが管理しているビーチでは定期的な整備のおかげで漂着ごみはあまり見当たりませんが、天然ビーチなどのきちんと管理がされていない海岸には、大量の漂着ごみが放置されていることがあります。
事実、たびらいスタッフが名護市の東海岸にあるビーチで清掃作業を行った際には、大量のペットボトルや発泡スチロール、漁具など日本の物だけでなく海外の物と思われるパッケージの物まで、様々な種類のごみを目にしました。
近年、マイクロプラスチック(5mm未満のプラスチック)、またプラスチックに添加・吸着する化学物質による生物への影響が懸念されている。環境保全の観点からは、特に、ヒトへの健康影響(食物、飲料水等を経路とした摂取)、生活環境の一部としての水生生物への生物・生態系 影響をリスク管理することが重要となる。これらのリスクについて、定量的に評価していくことが課題である。(環境省 2020,P1)
引用文献:環境省「海洋プラスチックごみに関する既往研究と今後の重点課題(生物・生態系影響と実態) (2020年)」(2022年2月15日閲覧)
上記から、海中のごみが生物へ与える影響はもちろん、私たち人にも影響が及ぶ可能性があることを認識し、当事者として考え、行動することが求められてきています。
ごみ問題の解決の一歩として、ツアー中にごみを1人1つ持ち帰る石垣島での「ONE HAND ONE CLEAN PROJECT(ワンハンドワンクリーンプロジェクト) 」をはじめとし、海洋ごみを使ったクラフトワークなど、観光客も旅先で気軽にごみ問題の解決に貢献できる仕組み作りなどが提案・実施され、大小にかかわらず地道な活動が沖縄県の各地で続けられています。
③赤土(あかつち)等に関する問題
赤土は、沖縄の農産物を育てたり、焼き物(やちむん)にも使われる大切な原料ですが、この赤土の流出が海洋汚染の要因の一つとなっています。
沖縄では、まとまった強い雨が降ると開発現場や農地等から土壌が流出し、海を濁らせます。海に流れた赤土は、粒子が細かいためなかなか沈殿せず長時間にわたり海中を漂うだけでなく、サンゴの表面を覆いつくして、白化を引き起こしてしまう恐れがあります。
赤土の流出は自然的要因に加え農業や開発行為があり、現在では対策として、畑の周辺や収穫後の農地にひまわりや月桃などの植物を植えることで 水の流れを弱めたり、濁水中の土粒子を捕捉し、赤土の流出を防ぐ「グリーンベルト(植生帯)」の取り組みも実施されています。
④生態系に関する問題
沖縄を含む琉球列島は、長い間海によって隔たれたことで、ヤンバルクイナやイリオモテヤマネコなどの固有種が多いことで有名です。その一方で、近年の外来種の生息域の拡大に伴い、固有種など既存の生態系への影響が危惧されています。一例として、ハブの駆除のために県内に持ち込まれたマングースによる、国指定天然記念物である沖縄県北部の固有種「ヤンバルクイナ」の捕食等が発生しています。
固有種の中には、絶滅の恐れのある野生生物も多く存在し、これらの貴重な生態系を守るために、外来種の駆除やロードキルの注意喚起、捨て猫・ 捨て犬を保護する取り組みが行われています。
また、自然生態系に焦点を当てた自然学習ツアーの実施や、森林地域をツアーフィールドとして活用する地域事業者では、生態系調査を兼ねた盗掘 パトロールをツアー化し、収益を保全活動へ充てるなどの仕組みを実施している事例などもあります。